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Forever Walking in This Sacred Land / What Seattle said 聖なる大地をともに歩こう / シアトルのことば

2025年5月の紹介

Forever Walking in This Sacred Land / What Seattle said

聖なる大地をともに歩こう / シアトルのことば

See the blue sky above? It is our father. See the vast land in front of your eyes? It is our mother. Not only ours, but yours, too. You will know this when you have lived long enough in this land.
われわれの上には青空がある。空はわれわれの父だ。目の前には大地がひろがっている。大地はわれわれの母だ。われわれだけのものではない、きみたちのものでもある。この土地に長く住んだなら、きみにもそれがわかる。

We received a message from your leader far away in the east. He sends us greetings of friendship and goodwill. This is kind of him, for we know he has little need of our friendship. His people are many, like the grass that covers the prairies. My people are few, like the scattered trees on the plain after a storm.
はるか東にいるきみたちの指導者からの伝言が届いた。友情と善意のあいさつだった。これは親切だ、彼はわれわれの友情など、少しも必要としていないのだから。彼の人々はたくさんいる、大平原をおおう草のように。われわれの人々は少ない、嵐のあと草原に散らばってしまった木々のように。

これは、アメリカ北西部のスクォミッシュ族の首長シアトルが、土地の買収を申し出たアメリカ政府の役人に対して、1854年に行ったスピーチです。
怒りにかられ、命と引き換えにでも復讐を果たそうとする部族の若者を憂い、悲惨で失うものの多い戦いではなく、平和を求めます。

そして土地の買収を求めた役人に対して、それに応じながらも、次のように投げかけます。
「土地を売り買いすることなど、できるものだろうか? 森や、そこに住む獣たちや、雨や空や風を自分のものにすることなど、本当にできるのだろうか?」

この大地は、今生きている人たちだけのものではなく、これまで生きてきたすべての命によって調和がとられ、聖なる場所となっていると、シアトルは語ります。
そしてこのスピーチは次のような印象深い言葉で締めくくられます。

The land has never belonged to humans. We all belong to this land.
大地が人間のものになったことなど、かつて一度もない。われわれのすべてが、この大地の一部なのだ。

このスピーチは、その場に居合わせた医師により新聞に発表され、それ以降、現在に至るまで、多くの人々に感銘を与えてきました。
首長シアトルの名前は、ワシントン州最大の都市の名称として今も残っています。
語り継がれてきたこの大切なメッセージを、しっかりかみしめながら聞いてみたいですね。