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story今月のお話

The Tale of Squirrel Nutkin りすのナトキンのおはなし

2021年11月の紹介

The Tale of Squirrel Nutkin

りすのナトキンのおはなし

This is a tale about a tail---
これから するのは, しりきれしっぽのおはなしです―――
a tail that belonged to a little red squirrel, and his name was Nutkin.
そのしっぽは,小さなあかりすの しっぽで,りすの名まえはナトキンといいました。
He had a brother called Twinkleberry, and a great many cousins;
ナトキンには,トインクルベリというにいさんや,おおぜいの いとこたちがいました。
they lived in a wood at the edge of a lake.
そして みんなで,みずうみのそばの 森にすんでいました。
In the middle of the lake there is an island covered with trees and nut bushes;
みずうみのまんなかには しまがあり,そのしまには 木がしげり,どんぐりやくりなどのなる木がありました。
and amongst those trees stands a hollow oak-tree, which is the house of an owl who is called Old Brown.
そして,そういう木々のまんなかに,あなのあいた かしわの木がたっていました。その木は,ブラウンじいさま という名の ふくろうの いえでした。



 秋のある日,小さな赤りすのナトキンと仲間たちは,島へ木の実を取りに出かけます。島のあるじのブラウンじいさまに仲間は,「木の実をとることをお許しください」と,手土産をもってお願いにいきます。けれどもナトキンはひとり遊びほうけ,ブラウンじいさまをからかいます。そんなナトキンをブラウンじいさまは相手にしません。仲間が木の実を拾っているあいだ,ブラウンじいさまに勝手し放題だったナトキンですが,最後にはブラウンじいさまにつかまってしまい,しっぽをなくしてしまうのでした。

 りすやふくろうといった小動物が登場していますが,まるで人間の世界のようなお話が展開されます。最後はしっぽをなくして終わりではなく,その後に仲間からからかわれるナトキンのエピソードがあって,物語は終わります。ただ単に悪いことをすると罰を受けるという教訓話ではなく,人間の子どもと同じようなナトキンの様子を描いて物語を終わらせています。

 作者のビアトリクス・ポターは,動物や風景を実際に見てスケッチをし,絵本のイラストを描きましたが,この作品では,なかなかりすが手に入らず苦労したそうです。このおはなしの舞台は,ポターが避暑でよく訪れていたダーウェント湖(Derwentater)のエリアだそうです。ポターの「ダーウェント・スケッチブック」というものが残されていて,そこには絵本に描かれた風景の水彩スケッチが,たくさん描かれています。

 ナトキンはブラウンじいさまをからかうのに,なぞなぞをだします。これらのなぞなぞはすべてマザーグースからきたもので,ポターが替え歌にしたものもあります。リズムのいいなぞなぞですので,ぜひ声に出してみてください。なぞなぞは6つ登場しますが,みなさんはいくつ答えがわかりましたか?