This month's
story今月のお話

2017年2月の紹介

Frederick

フレデリック

“Frederick, why don't you work?”
「フレデリック,どうして きみは はたらかないの?」
they asked.
みんなは きいた。
“I do work,”
「こう みえたって,はたらいてるよ」
said Frederick.
とフレデリック。
“I gather sun rays for the cold dark winter days.”
「さむくて くらい ふゆの ひの ために,ぼくは おひさまの ひかりを あつめてるんだ」

詩人のフレデリック

 農家の石垣に住む「のねずみ」の家族のおはなし。冬にそなえて働くのねずみたち。けれどもフレデリックだけはべつ。「こう みえたって,はたらいているよ」とフレデリック。いったいフレデリックはなにをしているというのでしょう。
 やがて冬になり,あつめたおひさまの光や色,ことばで,4匹ののねずみたちをあたためるフレデリック。最後には仲間に「詩人じゃないか」とほめられフレデリックは顔をあかくしておじぎするのでした。
 「アートなんて何になるんだ」と汗水流して働いている人たちの意見に,レオニ自身が答えた自伝的作品ともいえるでしょう。

グラフィック・デザイナーの絵本

 作者のレオ・レオニは小学校の教科書にもある『スイミー』や『あおくんときいろちゃん』などで有名な,アメリカを代表する絵本作家のひとりです。グラフィック・デザイナーであったレオニの『フレデリック』は,絵本の余白の部分までもその風景を読者が自由に想像することができます。レオニはコラージュの手法を絵本にはじめて使用した作家でもあるのです。