This month's
story今月のお話

2020年4月の紹介

ASK MR. BEAR

おかあさんのたんじょう日

Once there was a boy named Danny.
あるところに,ダニーという おとこの子が いました。
One day Danny's mother had a birthday.
きょうは,おかあさんの たんじょう日です。
Danny said to himself,
そこで,ダニーは かんがえました。
“What shall I give my mother for her birthday?”
「おたんじょう日の おいわいに,なにを おかあさんに あげたら いいかなあ」
So Danny started out to see what he could find.
ダニーは おかあさんに あげるものを みつけに でかけました。
He walked along, and he met a Hen.
すると,めんどりに あいました。
“Good morning, Mrs. Hen,” said Danny.
「おはよう,めんどりさん」と,ダニーは いいました。
“ Can you give me something for my mother's birthday?”
「おかあさんの たんじょうび日に,なにか あげるもの ないかしら」
“Cluck, cluck,” said the Hen.
「こっ,こっ,こっ」と,めんどりは いいました。
“I can give you a nice fresh egg for your mother's birthday.”
「それじゃ,わたしが うみたての たまごを ひとつ あげましょう」
“Thank you,” said Danny,
「どうも ありがとう」と,ダニーは いいました。
“but she has an egg.”
「でも,たまごなら もう あるの」
“Let's see what we can find then,” said the Hen.
「それじゃ,いっしょに なにか さがしに いきましょう」と,めんどりは いいました。



 その後もダニーは,がちょう,やぎ,ひつじ,めうしに会いにいってたずねますが,おしえてくれるのは,どれももうあるものばかり。おやまのもりにすんでいるくまさんに会いにいくと,くまは「なんにも あげるものが ないね。だけど,いいことを おしえて あげよう」とおしえてくれました。そこでダニーはうちへかえって,おかあさんにすてきなおくりものをするのでした。

 だいすきなおかあさんへのたんじょう日プレゼントをさがしにいくダニーのストーリーは,とてもシンプルなタッチで描かれています。多くは描かれない風景のなか,ダニーと動物たちが走っていく姿には躍動感が感じられ,子どもはダニーや動物たちといっしょに走っている気持ちになることでしょう。最後にくまにあいにいくときには,ほかの仲間に「わたしは ごめん」と断られてしまいますが,ダニーはひとりで会いにいきます。もりをまえにしたダニーの不安そうにみえる表情。それでもだいすきなおかあさんのために,勇気をふりしぼってもりに入っていくダニー。彼の冒険は,幼いこどもの心をつかんで離さないでしょう。

 『アンガスとあひる』も描いたアメリカの絵本作家,マジョリー・フラックの,1932年に発刊された絵本です。日本では1954年に,光吉夏弥氏の訳で「岩波のこどもの本」シリーズの一冊として出版されました。90年も前の作品ですが,子どもに人気があるのは最初から最後まで少年ダニーの目線で描かれ,読者が主人公とともに冒険できるからでしょう。ダニーのお母さんに素敵なプレゼントをさがしたい気持ちが全体にあふれている絵本。ぜひ親子で楽しみたい絵本作品です。