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story今月のお話

2016年6月の紹介

THE VERY HUNGRY CATERPILLAR

はらぺこあおむし

 世界中で子どもたちに親しまれている“THE VERY HUNGRY CATERPILLAR”『はらぺこあおむし』。一度絵本を開くと,その鮮やかで豊かな色彩に引き込まれてしまいそうです! この色使いこそが,人気の秘密なのでしょうね。こどもたちを魅了する,絵本の魔法です。

最後のページの美しさは感動的

 ストーリーはとてもシンプル。あたたかな日曜日にうまれたあおむしは,おなかがぺっこぺこ。月曜日はりんごをひとつみつけて食べ,火曜日はなしをふたつ食べ・・・。でも,まだまだおなかがぺっこぺこのあおむしは,土曜日にケーキやチーズ、サラミやアイスクリームをぱくぱくたいらげます。このページは見開きで,はじからはじまですてきな食べ物が並んでいるのです!! 子どもたちにしたら,たまりませんね。でも,そのばん,あおむしはおなかがいたくてないてしまいます。そして日曜日,あおむしはみどりのはっぱを食べて,おなかの具合もすっかりよくなります。そしてさなぎになり,さいごにすばらしく美しいちょうちょになって,はばたいていきます。この最後の見開きページ一面に羽を広げる美しいちょうちょを子どもたちに見せたいがために,この絵本が書かれたのかもしれないな…と思うほど,きれいなちょうちょです。

こどもの感覚はおとなの想像をこえる

 あるとき,この絵本を読んだ子どもの感想を聞きました。「はっぱを食べたから,おなかの調子がよくなったんだね。」・・・このつぶやきは,この子はお菓子や人工物を食べておなかをこわしてしまったあおむしが,自然の葉っぱを食べることでからだの調子が直ったことに意味を感じ取り,自然のものを食べることはやっぱり大切なんだな,という気持ちから出てきたことが,よく聞いてみるとわかりました。
 正直,びっくりしました!!
 理屈ではなく,絵本を読んで感覚的にこのような理解ができる子どもたちの力に改めて感心させられました。
 わたしたちの想像よりもさらに深く,遠く,子どもたちの感覚は絵本から広がっていくんですね。