This month's
story今月のお話

2019年7月の紹介

The Ant and the Grasshopper

ありときりぎりす

It was summer.
夏。
The sun was shinning.
太陽はかがやき,
The grass ine the meadow was cool and green.
牧場の草はひんやりとしたみどりにもえて,
The sky was blue, blue as blue can be.
空は青く,ぬけるように青く,
And the flowers----ah, the flowers
そして花は,----そう,花は,
----red and orange,
赤とオレンジ,
yellow and green,
黄色とみどり,
blue, indigo, violet,
青,あい,すみれ色と,
a feast for the eyes:
目をたのしませる
all the colors of the rainbow.
虹の七色に咲きほこっていました。
The stream was singing a bubbly song:
小川もせせらぎのうたを歌っていました。
babble, bubble, gurgle, plop!
Someone else was singing, too.
ほかにもだれか歌っている。
It was three happy hoppy grasshoppers.
それは3びきの陽気なトビハネきりぎりす。


 遊んでばかりいるきりぎりすは,「働くのなんか明日にして,楽しく過ごす」「自由,おおさわぎ,ホッピング! ほかになにがいるんだ?!」といい,あくせく働くありをばかにします。けれども冬になるときりぎりすはありの巣の前で助けを求めます。「あけてください!」「なんか食べ物をちょうだい!」と。でもありは助けません。「夏じゅう歌っていたんだ。冬じゅう踊っていればいい」といって,中に入れませんでした。やがて春になりありが巣から出ると,そこにきりぎりすたちが命絶えているのをみつけるのでした。

 有名なイソップ物語のひとつで,もともとはきりぎりすではなくセミだったようです。作者といわれているイソップはギリシアの奴隷でしたが,語りが上手だったので解放されたといわれています。彼はとても知的な人物だったといわれていますが,イソップ自身が実際に書き残したものは残っていません。また日本に伝わるものなかには,ありがきりぎすを助けて食べ物を与えるというストーリーになっているものを多く見受けます。これは16世紀に日本で翻訳された当初の翻訳からみることができ,日本特有の温情主義が影響しているのでしょう。

 「きみは,きりぎりす派? それともあり派?」と,仲間や家族と話しあってみるのも楽しいでしょう。たとえ幼い子どもでも,さまざまな見方,考え方ができます。一人ひとりの人間には,ありときりぎりすの両方の面があり,またどちらの生き方が正解などと結論を出すことはむずかしいでしょう。みなさんもこの物語を聞いて,ぜひ話しあってみてください。