This month's
story今月のお話

2019年5月の紹介

Rum Pum Pum

ラン パン パン

Long ago in India a blackbird lived with his mate in a tree.
むかしむかしのインドのお話。クロドリのふうふが木の上に住んでいた。
Blackbird sang very sweetly.
てい主のクロドリは,とてもいい声のもち主。
One day the King heard him as he was passing by.
ある日のこと,王様が近くを通りかかった。
“Bring me that sweet-singing blackbird,”
「あの声の主をつれてこい」
said the King.
王様が声をあげた。
“I will keep him in a cage in my palace.”
「鳥かごに入れて,わしの宮でんで鳴かせてみたい」。
So the King's men set out to capture Blackbird;
王さまのめいれいで,家来たちが,クロドリをつかまえようとした。
But they caught his wife by mistake,
ところが,大まちがい。つかまえたのは,にょうぼうのほう。
for they looked exactly alike and the King's men couldn't tell the difference.
二羽のクロドリはあんまりよくにていて,見わけがつかなかったのだ。
When Blackbird discovered his wife had been stolen, he was very angry.
にょうぼうをさらわれたクロドリは,いかりくるった。
He decided to get her back by whatever means.
どんなことをしてもとりもどすぞ!


 武装したクロドリがたいこをたたきながら出発すると,ネコ,アリ,木のえだ,川に出会います。王様にいじめられていた彼らもいっしょに行くというのでした。そこでクロドリは彼らを耳の中に入れ宮でんへ。戦いをいどむクロドリは小屋に放り込まれますが,仲間と力を合わせて王様と戦うのでした。

 仲間とともに圧制者をやっつける冒険物語は古今東西にありますが,この作品はなんとも突拍子もない展開,テンポのよい話の進展,胸のすく結末がおもしろい作品です。リーダーであるクロドリは「ランパンパン」とたいこを叩いているだけで,特別なことはしていません。けれどもクロドリは知恵を働かせて,仲間といっしょに王様をやっつけます。小さく弱い者が大きく強いものをやっつけるといったテーマは昔話の典型で,子どもに生きる勇気を与えるのではないでしょうか。

 インドの民話をアメリカの図書館員で作家のマギー・ダフがまとめ,ホセ・アルエゴとアリアンヌ・ドウィ夫妻がイラストを描いた作品です。アルエゴが線を描き,ドウィが着色したイラストは,奇想天外なストーリーをよく表現しており,「ランパンパン」とたいこの音がきこえてきそうな作品となって,この絵本の魅力を引き出す大きな助けとなっています。