This month's
story今月のお話

2019年3月の紹介

CHOO CHOO THE STORY OF A LITTLE ENGINE WHO RAN AWAY

いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう

Once upon a time there was a little engine.
あるところに,ちいさな きかんしゃが ありました。
Her name was CHOO CHOO.
なまえは ちゅうちゅうと いいました。
She was a beautiful little engine. All black and shiny.
まっくろくて,ぴかぴか ひかっていて,きれいな かわいい きかんしゃでした。

CHOO CHOO had a whistle which went who WHOOOooooo! When she came to the crossing.
ちゅうちゅうには,ちいさな きてきが ついていました。その きてきは,ふみきりに くると ぴいいいいい--と なりました。
CHOO CHOO had a BELL which went DING! DONG! DING! DONG! when she came to the sation.
また ちゅうちゅうには,かねがついていました。その かねは,えきに くると,かんかん! かんかん! と なりました。


 お世話してくれる人に見守られて,ちゅうちゅうは毎日同じコースを走っていました。ところがある日,自分ひとりで走ったらもっと早く走れて,みんなにほめられるだろうと考えました。そして次の日,ちゅうちゅうがひとり線路に立っているときに「さあ,いまだ!」と逃げ出したのです。ちゅうちゅうはものすごく早く走ったので,村や町は大混乱! 線路近くの人や動物たちは逃げ出します。ちゅちゅうは跳ね橋も飛び越し,大きな駅では迷子になって。夜になると力尽きてしまうのでした。さて,ちゅうちゅうはどうなってしまうのでしょうか?

 アメリカの有名な作家バージニア・リー・バートンの作品です。バートンの作品には他にも『ちいさいおうち』や『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』のような作品がありますが,どれも子どもたちに人気です。『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』はモノクロで描かれた力強い絵と,耳に心地よい語りですすんんでいく物語です。子どもは主人公に自分の投影し,冒険の数々を体験するのでしょう。文字テキストは場面に合わせて動きのある配置がなされています。そんな工夫も人気の一因でしょう。

 アメリカの蒸気機関車の運行は,1830年に東海岸から始まりました。その後,東西から鉄道の線路が延び,ユタ州で大陸を横断する鉄道がつながったのは1869年です(ちなみに『大草原の小さな家』の主人公ローラは1867年生まれです)。鉄道が発達するにつれ,人も物も行き交うようになり,アメリカの開拓は進んでいきました。作者バートンは,アメリカの工業化が進む1937年に,鉄の塊である機関車を人間にたとえ,それを囲む人間や動物たちの愛情をこの作品に描きました。

 作品中,英語では主人公ちゅうちゅうは「she」となっています。ちゅうちゅうは女の子だったのでしょうか。たしかに機関車のちゅうちゅうは,スカートをはいているかのようにも見えます。そこでラボ・ライブラリーでは,女性の声で録音しました。日本語は女優の大山のぶ代さんが担当し,元気なちゅうちゅうを表現しています。軽快な音楽とともに,ちゅうちゅうといっしょに冒険してみませんか。