This month's
story今月のお話

2019年2月の紹介

PETUNIA

がちょうのペチューニア

IN THE MEADOW, early one morning, Petunia, the silly goose, went strolling.
ある あさ はやく,おばかさんのがちょうのペチューニアが,ぶらぶら くさちへ でかけました。
She ate a bug here, clipped off a clover leaf here, and she picked at the dewdrops on the goldenrod leaves...
こっちで むしを たべ,あっちで クローバーを つまみ,くさの はに たまった つゆを つつきながら あるいていくと……
...then, suddenly, she saw something she had never seen before in the meadow. What was it?
おや,じめんの うえに,なんだか へんな ものが,おちていました。いったい これは なんでしょう?
Petunia stole closer and closer, and sniffed at it from all sides.
ペチューニアは,そうっと そうっと ちかづいて,あっちからも,こっちからも,においを かいでみました。
“By Goosey Gander,” she said, “it does not smell like food for a goose.
「ふんふん。においから すると,これは,たべる ものじゃ ないらしいわ。
But I believe I have seen such a thing before...”
だけど どこかで みたような……」
“...yes, I have seen one under Bill's arm when he came out of school.
「……そう,ビルが がっこうから でてきたとき,てに もってた ものよ。
It's a Book. That's it. A BOOK!”
ほん……そうよ,ほんだわ!」


 「本をもち,これに親しむものは賢くなる」と信じているペチューニア。本を<持って>いるペチューニアを見て,仲間の動物たちは,「ペチューニアはおばかさんではないのかも」と思い始め、ペチューニアに相談をもちかけます。するとペチューニアはみんなの相談に「おやすい御用よ」と応え,首がどんどん長くなっていくのでした。ある日,ペチューニアは道に落ちていた箱の中の花火をキャンディーと間違えて,みんな一斉にかぶりついてしまい,大ケガをしてしまいます。そこでペチューニアは「本は持っているだけでなく,中身を頭や心にいれなくてはいけない」ということを理解したのでした。

 主人公ペチューニアを中心に,多くの動物が登場してドタバタ劇が展開されます。カラーとモノクロのページが交互になり,ときにはページからはみ出すようなかたちで登場人物は生き生きと描かれています。ペチューニアのキャラクターと,どんどんエスカレートしていくできごとで,読者はひき込まれていきます。コミカルなイラストで描かれるこの絵本はけっして説教くさくなく,「本は持っているだけではなく,ちゃんと読みましょう」というメッセージを読者は感じるのではないでしょうか。

 作者ロジャー・デュボワザンはスイス生まれで,パリで陶器工場や織物デザイン工房で働いた後,織物デザイナーとしてアメリカに渡りました。多くの児童文学や絵本の作家のように,彼も最初は自身の息子のために絵本を描いたそうです。『White Snow Bright Snow(しろいゆき あかるいゆき)』で,1948年にコルデコット賞を受賞。多くの絵本を制作していますが,「がちょうのペチューニア」シリーズとして9冊描いています。どの作品もおっちょこちょいだけれども憎めないぺチューニアと、農場の動物たちが登場する愉快な物語です。

 ペチューニアは本を読んで賢くなろうとしました。自分が賢くなればみんなを幸せにしてあげられると思ったからです。みなさんはどんな目的をもって本を読みますか? みなさんが本を読むことによって,この地球上のみんなが幸せになれるといいですね。