2016年5月の紹介
The Kindergarten Elephant
ぐるんぱのようちえん
2016年5月の紹介
The Kindergarten Elephant
ぐるんぱのようちえん
「ぐるんぱ」とは、ゾウの名前です。ただ、このゾウさん、実はひとつ問題がありました。それは… くさいのです!! なかまたちもぐるんぱがあんまりくさいので近寄らず、ぐるんぱはいつも一人ぼっちでした。
このままではいけない。なかまたちはぐるんぱをきれいに洗って、はたらきに出すことにしました。ぐるんぱは、希望に満ちて町にはたらきに行きます。ところが…
何をやっても長続きしません。ぐるんぱはとても大きなゾウなので、クッキーを作っても、お皿を作っても、靴を作っても、ピアノを作っても、車を作っても、ぜんぶ大きすぎて売り物にはならないのです。
すっかり気落ちしたぐるんぱ。でも、そんな時たくさんのこどもたちの世話をするお母さんと出会います。お母さんは大忙し。ぐるんぱはこどもたちといっしょに遊ぶことにしました。
今まで作ったものが、すてきに役に立ちます。大きなクッキーはこどもたちのおやつに、大きなお皿はプールに、大きな靴と車はこどもたちの遊び場になりました。ぐるんぱは、大きなピアノを弾いてこどもたちと歌います。
もう、さびしくなんかありません。ぐるんぱは自分の居場所を見つけることができたのです。
自分が役に立つ場所がきっとある
ぐるんぱは、どこに行ってもずっと邪魔にされてしまいます。一生懸命頑張っても、なかなか受け入れてもらえません。
ここもだめ、ここもだめ…。繰り返される挫折に、絵本を読んでいるほうもぐるんぱといっしょに悲しくなります。でも、最後にたどり着いたところで、ぐるんぱはとってもたのしく、みんなの人気者になります。
途中の道程がつらいほど、最後のしあわせそうなぐるんぱとこどもたちの笑顔に、むくわれた気持ちになるんですね。
この絵本がロングセラーをつづけているのも、こどもたちが「ぐるんぱ、よかったね!」と、うれしくなれるからなのでしょう。
ぐるんぱは、いろんな場所を転々とします。一生懸命働いてつくったものが、おおきすぎてそのお店にあわないからです。ぐるんぱは、自分自身のからだにあわせて大きなものをつくります。
でも、さいごにぐるんぱは自分のからだに合わせて作ったものが必要とされる場所たどり着きます。言いかえれば、ありのままのぐるんぱを必要としてくれる場所、こどもたちに出会うことができたのです。
「きっと、どんな人にもそういう場所がありますよ!」
この絵本は、そんなふうに伝えてくれている気がします。