This month's
story今月のお話

2018年12月の紹介

The March of the Jizo

かさじぞう

むかし あったけどな
Here's a tale of yore.

むかし,ある村にじいとばあがありました。
Long ago, in a village, lived Gramps and Granma.
じいはまいにち山へいって,木をきりました。
Gramps went out to the mountains every day to cut wood.
そして,町へいって,その木をうり,たべるものをかってくらしていました。
Then, he went into town to sell the wood to buy food and make a living.
ある年のくれ,正月をむかえるために,じいは,また木をうりにいくことにしました。
Late in the year, Gramps decided to go and sell wood again, so he could prepare for the New Year.
雪のふるなか,じいは,せなかにどっさりと木をしょって,でかけていきました。
Gramps went out into the snow carrying a large bundle of wood on his back.


 町で木をうったお金でじいは,正月の米や餅を買う替わりに,途中にみかけた六地蔵さまのために笠を買いました。そして雪まみれの地蔵さまに,「どんなにかつめいたいでしょう。さあ,かぶせもうしますぞ」と笠をかぶせ,家にかえりました。ばあは「そりゃあよかった」と言い,ふたりはお湯だけをのんで寝るのでした。すると夜中に「じんじがいえはどこだべな ばんばがいえはどこだべな」とうたいながら六地蔵さまがふたりの家にやってきました。そして宝物やごちそうをじいとばあのまえにつみあげ,お礼を言って帰っていったのでした。

 日本の昔話です。正直で良心をもったおじいさん,おばあさんに幸福が訪れる昔話は古今東西にあります。この『かさじぞう』もその典型で,日本各地に類話がみられますが,それらは少しずつ内容が異なります。

 このおはなしは正月の準備をする大晦日の出来事で,新しい年を迎えることを大切にする日本の文化が表れています。昔の人びとは,元旦には幸せをもたらす年神様が山から家にやってくると考えていました。村と村との境に立つ六地蔵を大切にすると,年神様も気持ちよくやってきてくれたのでしょう。

 英語を身につけて海外の人々と交流する際には,自分の文化について紹介できるような知識も身につけたいものです。このような昔話を通して知ると,自分の生活や文化を深く考えることができるでしょう。さて今年,みなさんはどのようにして年神様を迎えますか?