This month's
story今月のお話

2018年10月の紹介

The Turnip

かぶ

Grandpa and Grandma planted one small tiny turnip seed.
じっちゃと ばっちゃが,ちっちゃな,ちっちゃな かぶのたねを ひとつぶまいた。
“Turnip, oh turnip, do sprout soon.”
「かぶよ,かぶ,はやく めをだせ」
“Grow into a sweet turnip.”
「あまい かぶになあれ!」
Grandpa and Grandma watered it well every day.
じっちゃと ばっちゃは まいにち,まいにち,みずをかけてやった。


 じっちゃの背よりも大きくなったかぶを,じっちゃがひっぱってみますが抜けません。じっちゃがばっちゃに応援を頼みますが,それでも抜けません。まごむすめ,いぬ,ねこがやって来て,いっしょにひっぱってみますが抜けません。けれども最後にねずみがやって来くると,この大きなかぶはやっとこさ抜けるのでした。

 有名なロシアの昔話です。ロシアのかぶといえば「ルタバガ」と呼ばれる黄色で,日本の白いかぶとは異なります。「ルタバガ」はロシアや北欧などでは日常に食べる野菜で、ハロウィーンでカボチャで作る「ジャック・オー・ランタン」は、もともとはこの「ルタバガ」で作られていました。ハロウィーンがアイルランドからアメリカに伝わったときに、カボチャで作られるようになったということです。

 絵本は大地の上にどんな生活があるのか想像を掻き立てられる空間が描かれています。ロシアの文化もていねいに描かれていて,たとえばばっちゃが被っているプラトーク(スカーフ)は既婚女性が髪を隠すならわしでしたので,未婚のまごむすめは被っていません。

 この子どもに馴染みのある動物のいぬ,ねこが登場します。いちばん小さなねずみがやって来て抜けるといったストーリーに,小さな存在も大きな力になるといったことを子どもが感じ,自身の存在を愛おしく思うことでしょう。

 The mouse pulled the cat,
 the cat pulled the dog,
 the dog pulled the granddaughter,
 the granddaughter pulled Grandma,
 Grandma pulled Grandpa,
 and Grandpa pulled at the turnip.
と,リズムよくすすんでいく語り。かぶを引き抜くだけの単純なストーリーですが,このリズムのよい語りが,聞き手をグイグイと引っ張っていきます。ぜひ耳で聞いてお楽しみください。