This month's
story今月のお話

2018年9月の紹介

The Story Of The Three Little Pigs

3びきのコブタ

Once upon a time when pigs spoke rhyme
昔々といえば ブタが歌うように話したり
And monkeys chewed tobacco,
サルがかみタバコをくちゃくちゃかんだり
And hens took snuff to make them tough,
メンドリがもっと強くなろうとして かぎタバコをフンフンかいだり
And ducks went quack, quack, quack, O!
それから アヒルがなんとガアガア鳴いたりしていたもんさね そのころのこと
There was an old sow with three little pigs,
あるところに,3びきのコブタを育てているかあさんブタがいましたが,
and as she had not enough to keep them,
こどもたちたっぷり食べさせてやれないものだから,
she sent them out to seek their fortune.
めいめいどこかへいって,自分で暮らしを立てるようにいいつけました。


 さいしょに家をでたコブタはわらで,にばんめのコブタははりえにしだで家を建てますがオオカミがやってきて家を吹き飛ばし,コブタたちは食べられてしまいます。さんばんめのコブタはレンガの家を建てたので吹き飛ばされませんでした。するとオオカミは「かぶを取りに行こう」「リンゴを取りに行こう」「市場に行こう」と誘ってきますが,そのたびにコブタは機転をきかせてオオカミから逃れます。怒ったオオカミは「なにがなんでもおまえをくっちまうぞ」とコブタの家に入ろうとして,コブタが用意した湯を張ったなべに落ちてしまい,コブタのごちそうとなってしまうのでした。

 この物語はジョセフ・ジェイコブス(1854-1916)が収集し再話した有名なイギリスの昔話です。「3」という数字は昔話によく登場します。3つ,3人,3回,など世界中の物語にみることができます。たとえば『三びきのやぎのがらがらどん』(北欧)『3びきのくま』(イギリス)『三まいのお札』(日本)など,タイトルに現れているものもあれば,グリム童話の『白雪姫』は3回殺されそうになり,『シンデレラ』は3回求婚されるなど,と物語が展開するものもあります。

 3回繰り返される物語の場合,3回のエピソードはほとんど同じことばで繰り返されます。同じことばで同じように繰り返されることばを,子どもは心地よく感じます。そのことによって心を落ち着つかせて耳を傾けることができ,巨人や魔物が出てくる物語にドキドキしながらも何度も読んでほしいとせがむのです。

 また,昔話は細部を語ろうとしませんが,シンプルに3回繰り返すことによって,もっとも重要なことを伝えています。二回失敗しても,三回めは成功する物語の展開。失敗しても,失敗してもあきらめずに物事を成し遂げようとすることのたいせつさを,昔話は伝えています。繰り返して語られる昔話は,子どもの心の成長に大きな役割を果たすといえるでしょう。