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story今月のお話

2016年4月の紹介

We're Going on a Bear Hunt

きょうはみんなでクマがりだ

♪We're going on a bear hunt. We're going to catch a big one.♪
軽快なリズムでクマがりにでかける5人の登場人物。親子なのか,きょうだいなのか,友人なのか,具体的な説明はありません。
彼らに対して自由なイメージをもって,読者はいっしょにクマがりにでかけます。彼らが草原や,川や,ぬかるみを前にして熟考する場面はモノクロで,熟考の末にそこを通り抜ける場面はカラーで描かれており, 登場人物のワクワク,ドキドキする気持ちをいっしょに体験することになるでしょう。けれども,彼らは楽しみにしていたクマにであった途端に家に逃げ帰ります。 それもさっき通ってきた困難の数々を通り抜けなければなりません。やっと家にたどり着いても玄関のドアを閉め忘れて戻ります。 やっとベッドに落ち着いた彼らは,”We’re not going on a bear hunt again.(ぼくらはもうクマがりなんかにでかけない)”と叫びます。

子どもにとっての冒険
仲間といっしょの冒険は子どもを大きく成長させます。この5人は一つひとつの困難をどのように乗り越えていったのでしょうか。
絵本をよく見てみると,困難に立ち向かって先頭をいく順番も,いちばん幼い赤ちゃんの手を引くのも,毎回ちがうメンバーになっており,グループで困難を乗り越えていく様子がていねいに描かれています。 読者である子どもは,どの登場人物に自分を置き換えるのでしょうか。
冒険に出かけ戻ってくる物語はファンタジーの典型でもあり,元の場所に戻ってきたとき登場人物はかならず成長しています。
冒険に出かけ,実際にクマに会ったら逃げ出してきたけれど,家に無事に戻ってこられて,読者の気持ちも落ち着くことができるのです。
この物語はアメリカのキャンプなどでよく歌われるキャンプソングですから,もともと,登場人物の設定などはありません。イラストレーターの想像力で,ひとつの物語世界が描かれています。 この絵本は作家であり,パフォーマーでもあるマイケル・ローゼンの本に,ヘレン・オクセンバリーがイラストを描きました。 オクセンバリーはクマのいる洞穴を,ロンドンから車まで西に4時間半のところにあるビーチの,Druidstone in Pembrokeshireをイメージして描いたといいます。 イラストレーター自身もイメージを膨らませて描いているのですね。
さて,5人を追って家までやってきたクマですが,どんな気持ちで後を追って来たのでしょう。絵本の最後のページにはクマがひとりで海岸を歩く姿が描かれています。みなさんはどのように考えますか?

Druidstone in Pembrokeshire

http://www.visitpembrokeshire.com/explore-pembrokeshire/beaches/druidston-haven/