2025年3月の紹介
Arrow to the Sun
太陽へとぶ矢
2025年3月の紹介
Arrow to the Sun
太陽へとぶ矢
Long ago the Lord of the Sun sent the spark of life to earth.
むかし,たいようのかみは ほとばしる いのちの みなもとを だいちに むかって はなった。
It traveled down the rays of the sun, through the heavens, and it came to the pueblo.
いのちの みなもとは,たいようの ひかりに のって そらを はしり,プエブロの むらまで とんだ。
There it entered the house of a young maiden.
そして,ひとりの むすめに そそがれた。
In this way, the Boy came into the world of men.
こうして にんげんの くにに おとこのこが うまれた。
He lived and grew and played in the pueblo.
おとこのこは,すくすく そだち,やがて むらで,あそぶように なった。
But the other boys would not let him join their games.
ところが,ほかの こどもたちは,おとこのこを なかまに いれようとは しなかった。
"Where is your father?"
「おまえのとうさん どこにいる?」
they asked.
こどもたちは いった。
"You have no father!"
「どこだ! どこだ! どこだ!」
They mocked him and chased him away.
はやしたてて,おとこのこを おいたてた。
The Boy and his mother were sad.
おとこのこも おかあさんも,それを かなしんだ。
"Mother,"
「おかあさん」
he said one day.
あるひ,おとこのこは,いった。
“I must look for my father.
「ぼくは,おとうさんを さがしに いく。
No matter where he is, I must find him.”
どこに いようと,きっと みつけだして みせる」
So the Boy left home.
こうして,おとこのこは,でかけていった。
おとこのこは父親を探して旅をします。
そして出会ったかしこい矢づくりは,おとこのこが太陽の子だと見抜き,男の子を一本の矢に変えて太陽まで飛ばしました。
しかし太陽の神はおとこのこが自分の息子であることをあかすため,「らいおんのへや」「へびのへや」「はちのへや」「いなづまのへや」を通り抜けるよう命じます。
そうして4つの部屋を通り抜けると,おとこのこの体には太陽の力がみなぎりました。
これは,アメリカのネイティヴ・アメリカン,プエブロの人々に伝わる物語の再話です。
太陽の神が通り抜けることを命ずる「へや」は,「Kiva」と呼ばれ,プエブロの人が宗教儀式を行う部屋のことです。
そしてそのへやの中にあるのは,「らいおん」「へび」「はち」「いなずま」となかなか大変なものばかり。
これらは,おとこのこが大人になるための試練なのかもしれません。
村でいじめられていたおとこのこは,一人で旅をして,試練を乗り越えることで,太陽の力を手に入れます。
これはひょっとしたら,自分が持っていた本来の力に目覚めたということなのかもしれません。
そして試練を乗り越えて戻ってきたおとこのこを,村では喜んで迎えます。
少年の成長と,生きる力強さを感じますね。
またこの絵本は,とても美しい色で,プエブロのデザインや生活様式を表現しています。
プエブロ独特の住居の形も描かれています。
そして,おとこのこが乗り越えなければならなかった試練である,らいおんやへび,はち,いなずまとは,何だったのでしょう?
そんなプエブロの文化に思いをはせながらお話を聞いてみると,より一層,お話のイメージが膨らむかもしれませんね。