2025年6月の紹介
The Story of Miss Moppet
モペットちゃんのおはなし
2025年6月の紹介
The Story of Miss Moppet
モペットちゃんのおはなし
This is a Pussy called Miss Moppet,
これは,モペットちゃんという名前の こねこです。
she thinks she has heard a mouse!
おや,ねずみのおとがしたなと,モペットちゃんはおもいました。
This is the Mouse peeping out behind the cupboard,
これは,とだなのうしろから のぞいているねずみです。
and making fun of Miss Moppet.
ねずみは,モペットちゃんをからかっています。
He is not afraid of a kitten.
こねこなんか こわくはありません。
This is Miss Moppet jumping just too late;
モペットちゃんは,ねずみにとびかかりました。でも,ちょっとおそかった!
she misses the Mouse and hits her own head.
ねずみは,にげてしまうし,モペットちゃんは,あたまを とだなに,こつんと ぶつけてしまいました。
She thinks it is a very hard cupboard!
これは,とてもかたいとだなだ! と,モペットちゃんはおもいました。
そこでモペットちゃんは、頭を小さなきれで包んで、気分が悪いふりをしました。するとねずみは、だんだん近づいていきます。きれの穴からそれを見ていたモペットちゃんは、ねずみにとびかかり捕まえてしまいました。
そして自分がからかわれた仕返しにねずみをからかってやろうと、ねずみをきれにつつんで、ボールのようにあちこちに投げて遊ぶのですが・・・。
たどたどしくも元気に動き回る、かわいらしい子猫の姿が目に浮かぶようです。
このお話は、ピーターラビットシリーズの中の一冊で、作者はビアトリクス・ポターです。
ポターは動物を擬人化しながらも、その動物を観察し写実的に描いていきました。
最後に描かれたモペットちゃんの表情は、まるで絵から「あれっ?」と声が聞こえてきそうです。
またモペット(Moppet)という英語には、「かわいい子」や「おちびちゃん」という意味があります。
だからこそ、子猫としてだけでなく、小さな子どもの愛らしい姿とも重なって、このお話が愛されているのかもしれません。
戸棚に頭をぶつけて「これは、とてもかたいとだなだ!」だなんて、とてもかわいらしい言い回しですが、実際はきっとすごく痛かったことでしょうね。
モペットちゃんがとびかかる前に、ねずみがどこにいるかをもう少し考えられたら、こんなことにはならなかったことでしょう。
またモペットちゃんが、自分がからかわれた仕返しにねずみをからかおうとすると、「モペットちゃんのやりかたは、あまりかんしんできませんね」と語られます。
このように、かわいらしいモペットちゃんのストーリーの中に、ちょっと辛口な展開やメッセージが入っていることも、この絵本の魅力ですね。